ストレスを解消し、心身をリラックスさせるマインドフルネス
社会や生活が大きく変化してしまった現在、先行きが見えない将来への不安やストレスにさらされている方も多いことでしょう。
この記事では、「今の状態に意図的に意識を向けて、価値判断をせずに、ありのままに受け入れている状態」を目指す、「マインドフルネス瞑想」のやり方を初心者向けに解説します。
マインドフルネス瞑想とは?
マインドフルネス瞑想とは、「今の状態に意図的に意識を向けて、価値判断をせずに、ありのままに受け入れている状態」を指します。
もともとは、仏教の教えに由来した思想ですが、近代になって宗教色が排除され、医療プログラム・ビジネススキル・自己啓発スキルとして広まってきました。
現在では、多数のトップビジネスマンが実践していることでも話題になり「メンタルコントロールメソッド」として大きな注目を集めています。
マインドフルネス瞑想は、日常生活はもちろんのこと、医療や介護などさまざまな場面で取り入れられています。
アメリカのマサチューセッツ工科大学のジョン・カバットジン博士は、「マインドフルネスストレス低減法」と呼ばれる心理療法を医療分野に取り入れ、精神的なストレスが低減するよう働きかけました。
それに加えて、マインドフルネス瞑想はビジネスシーンでも、多くの企業が実践しています。
グーグルやアップル、ゴールドマンサックスなどの有名企業はマインドフルネス瞑想を積極的に導入し、生産性を向上させただけでなく、社員のストレス耐性を高めています。
マインドフルネス瞑想の2つのポイント
マインドフルネス瞑想では、「判断をしないこと」と「今この瞬間に目を向けること」の2点を重要な要素として挙げています。
まず、「判断をしないこと」は、自分の身のまわりで起こっている出来事に対して、判断や評価を一切しないということを意味しています。
私たちはさまざまな出来事を見聞きするたびに、「良い・悪い」や「好き・嫌い」などの自分自身の好みや価値観をもとにして物事を判断しています。
しかし、自分自身の主観的な解釈や判断は、漠然とした焦りや不安をもたらすことも少なくありません。
そのため、マインドフルネス瞑想ではあらゆる雑念にとらわれず、ありのままを見ることが重要とされています。
そして、2つ目は、「今この瞬間に目を向けること」です。
一般的に、私たちの目の前で何らかの出来事が起こった場合、未来を想像したり、過去の経験を持ち出したりして思考をめぐらせるということがよくあります。
しかし、未来や過去を気にしすぎると、今起こっていることに対して適切な対応ができなくなる可能性があるのです。
「今この瞬間」をしっかりと意識することができれば洞察力も高くなるので、より良い対処ができるようになります。
「今、ここ」に意図的に意識を向ける
誰でも、目の前で起きている出来事よりも、頭の中の思考にとらわれてしまうことがあります。
思考がポジティブな内容の場合は良いのですが、「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」「来年は、ちゃんとした仕事があるだろうか」などというネガティブな内容が頭を占めていると、実際にはそれが現実には起きていないにもかかわらず、不安や後悔・悲しみ・怒りなどを感じてしまいます。
それを避けるために、「今、ここ」だけに意図的に意識を集中させ、今感じる必要のないストレスに心が乱されないようにするのです。
マインドフルネス瞑想の考えでは、目の前の出来事に対して価値判断をせずにありのままを観察し、事実だけにフォーカスをあてるように心がけます。
そうすることで、物事を客観的・俯瞰的に見る力・状況に応じた適切で冷静な対応をする力が養われます。
マインドフルネス瞑想の実践がもたらす効果
マインドフルネス瞑想を実践した場合、さまざまな効果があるといわれています。
リラックス効果
正しいやり方でマインドフルネス瞑想を行なうと、不安や緊張状態が緩和されていきます。
これによってリラックスできるので、うつ状態の改善やストレス耐性の向上などへの効果が期待できます。
たとえば、「眠りが浅い」「なかなか眠れない」など、睡眠に対する不安を抱えている人がマインドフルネス瞑想を実践すると、ストレスが低減して心身がリラックスするので、睡眠の質が向上する可能性があります。
注意力・洞察力アップ
注意力や洞察力を向上させたい場合も、マインドフルネス瞑想は役立ちます。
今この瞬間に起こっている出来事に対して、過去の経験や自身の価値観などにとらわれずに注目できるようになると、物事をより注意深く見ることができるようになります。
その結果、状況に応じたより良い対処法も見つかりやすくなるでしょう。
その他の効果
- 学習力/記憶能力/集中力の向上
- 免疫システムの機能向上
- 慢性疼痛の改善
- 不安障害/不眠症/恐怖症/摂食障害/依存症の症状改善
- うつ病の再発防止・軽度のうつ病の症状改善
- 感情コントロールの向上(共感力・思いやり・適切な意思決定・幸福感など)
マインドフルネス瞑想の状態を作り出す
マインドフルネス瞑想の状態(「今、ここ」に意図的に意識を向け、価値判断をせず、ありのままに受け入れる状態)を作るためには、脳のトレーニングが必要です。
この脳のトレーニングとして、最も一般的に行われているのが「瞑想」です。
瞑想によって意識をコントロールし「今、ここ」の1点に集中させるのです。
ここで注意したいのは、マインドフルネス=瞑想というわけではありません。
瞑想はマインドフルネスの状態を作るための方法の一つで、瞑想以外にもマインドフルネスの状態を作る方法はたくさんあります。
マインドフルネス呼吸瞑想の実践方法
マインドフルネス瞑想に取り組む場合、まず背筋を伸ばして正しい姿勢で座ります。
このとき正座をするかあぐらをかいて座ることがポイントです。
できれば腹式呼吸(息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹を萎ませる)を行います。
難しい場合は無理に腹式呼吸をしようとせずに、自然な鼻呼吸を心がけてください。
呼吸に意識を向ける
肩の力を抜いてリラックスし、目は閉じて半目にし、ゆったりと自然なペースで呼吸をします。
そして意識を呼吸だけに向けてください。
空気が入ったり出たりするの感じられる部分(鼻先・鼻の中・腹の動き)に意識を集中します。
息を吸うときと吐くときの温度の違い。空気が体の中に入ってくるときの感覚。出ていくときの感覚を感じるようにしましょう。
途中で頭に何か他の感覚や考え方が浮かんできても、気にしないでそっと意識を呼吸に戻します。
腹式呼吸をしている間は、自分の呼吸をしっかりと意識します。
マインドフルネス瞑想を実践しているときに思考や感情などの雑念が浮かんでしまうということは、初心者にはよくあります。
雑念が浮かんだとしても気にしないでそれを受け入れて、そのまま腹式呼吸を5~20分程度続けていきましょう。
応用的なマインドフルネス瞑想の実践方法
マインドフルネス瞑想は座って行なうのが基本的なやり方です。
しかし慣れてくると、歩きながらや食事をしながら取り組むこともできるようになります。
あらゆる価値観にとらわれずに集中して取り組むことができるのであれば、応用的なマインドフルネス瞑想にも一定の効果が見込めるでしょう。
4-7-8呼吸法
マインドフルネス瞑想の呼吸法は腹式呼吸のほかに、「4-7-8呼吸法」と呼ばれるものもあります。4-7-8呼吸法では、最初に息は全部ゆっくりと吐き出しておきます。
次に、4秒かけて鼻から息を吸い込みます。
息を吸い込んだら、今度は7秒間息を止めます。そして、8秒かけてゆっくりと息を吐き出していきます。これが4-7-8-呼吸法の基本的なやり方です。
どれくらい続ければ、マインドフルネス瞑想の効果があらわれるか?
たった数回だけマインドフルネス瞑想を実践しただけでは、その効果を実感するのは非常に難しいものです。
マインドフルネス瞑想は1日10分程度を目安として、まずは4週間ほど続けてみましょう。
心身に少しずつ変化があらわれてきます。
初心者がマインドフルネス瞑想を実践するコツ
初心者がマインドフルネス瞑想を実践する場合、最初は集中できなかったり、雑念にとらわれたりして、うまくいかないことはよくあります。
そのため、初心者が取り組むときには、まずは短時間から気軽にスタートしてみると良いでしょう。
また、腹式呼吸が難しいのであれば、腹部の動きがイメージできるようにお腹に両手を当てながら呼吸をするという方法も試してください。
マインドフルネス瞑想をするときには特別な道具は必要ないので、まずは体感してみることが大切です。
まとめ:マインドフルネス瞑想でポジティブな毎日を
精神的ストレスの原因は「今ここで起きているわけではないこと」がほとんどです。
過去の出来事を思い出したり、未来に起こるかもしれない出来事を想像したりして、悲しみや不安・絶望・怒りなどを感じるのです。
だからこそ、毎日を幸せに生きていくためには、「今、ここ」に意識を向けて「今できる最善」のための行動をとることが大切です。
しかし、現代の生活において、「今、この瞬間」に注意を留めるのはなかなか難しいことです。
いつも予定に追われて、先の事ばかり考えている人は多いでしょう。
また、スマホなどのデジタル機器の存在も、自分自身に意識を向ける妨げになっているといえます。
このような時代だからこそ、マインドフルネス瞑想の実践によるメンタルコントロールをおすすめします。
ぜひ今日から1日5分の瞑想を始めてみて下さい。
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